どうしてタバコは歯周病に良くないのか?

タバコは「百害あって一利なし」と言われるほど身体への悪影響があるということは皆さんご存知のことだと思います。
お口の中の病気に密接に関わっているのは「歯周病」です。
今回はタバコがなぜ歯周病に悪影響を及ぼすのかについてご紹介いたします。
○タバコの3悪の特徴
まずはじめにタバコの害について解説します。
①ニコチン
ニコチンは、タバコの葉に含まれる毒性の強い物質です。即効性が強く、脳に広く影響を与えることにより、依存症を引き起こす原因にもなっています。煙を吸い込むだけでなく皮膚からも体内に吸収されるため、タバコを吸わない人にも影響が及ぶのです。
②タール
タールは、タバコの葉が燃える際に発生する黒褐色の液体で、歯の表面に付着する「ヤニ」として知られています。粘質性が高く、水にほとんど溶けないため、歯面や気管、気管支、肺などに沈着すると、体外に排出されにくくなります。
③一酸化酸素
タバコの葉が燃える際、酸素不足により不完全燃焼を起こすと一酸化炭素が発生します。一酸化炭素は血液中のヘモグロビンと結合しやすい性質のため、急激に摂取した場合、血液が十分な酸素を運搬することができなくなって酸欠状態に陥ります。
○タバコが歯周病に与える影響

上記の有害物質によって歯ぐきの血行が悪くなり、栄養分や酸素が行き届きにくくなり抵抗力が低下してしまうために歯周病の進行リスク、さらには治療をしても治りにくい、といった悪影響が生じます。
ある統計データによると1日10本以上タバコを吸っていると歯周病リスクは5.4倍も上昇してしまうと言われています。
まとめると、
・歯ぐきの血行が悪くなり、歯ぐきに栄養や酸素が十分に行きわたらない
・歯ぐきの抵抗力が弱まり、白血球のの働きが低下し、免疫力が低下する
・唾液の分泌が抑えられ、歯垢や歯石がつきやすくなる
○タバコを吸っていると歯周病に気づきにくい!?
歯周病の代表的な症状は歯ぐきの腫れや出血ですが、タバコを吸っているとニコチンの血管収縮作用によりこれらの症状が「見かけ上」抑えられるので歯周病に気づきにくくなってしまいます。また、メラニン色素の沈着により歯ぐきが黒ずんでしまうと歯ぐきの炎症が分かりにくくなってしまうこともあります。
加えて喫煙によりビタミンCが大量に消費されることで免疫機能の低下を招きます。
○タバコを吸っていると歯周病が治りにくい!
喫煙は歯周病の進行を促進してしまうだけでなく、治療しても治りにくくしてしまうのです。それは上記で説明したように有害物質による直接的な影響や血行不良により、歯ぐきの修復に重要な上皮細胞、線維芽細胞のはたらきが阻害されてしまうことで歯周病が治りにくくなってしまいます。
○タバコはインプラントにも悪影響を及ぼします

失った歯を補う手段の一つであるインプラント。実はタバコはインプラント治療のリスクファクターと言われています。タバコに含まれる有害物質によりオッセオインテグレーション(インプラントと骨の結合)が妨げられたり、インプラント周囲炎の発症リスクが高まると言われています。
○禁煙すると歯周病は改善されるのか?
禁煙することは歯ぐきにとっていい影響を与えます。歯ぐきの血行が改善されることによって歯周組織の破壊を抑えることができると言われています。
○受動喫煙も歯周病に影響を及ぼします
タバコによる歯周組織への影響は、吸っている本人だけでなく周囲の人にまで及びます。親がタバコを吸っている場合、子供の歯周病や歯肉のメラニン色素沈着のリスクが高まることが分かっているのです。
特に、タバコの煙は粒子が非常に小さいため、「非喫煙者のそばで吸わない」「歩きタバコはしない」「必ず喫煙コーナーで吸う」など、公共マナーをきちんと守ることによって受動喫煙を防ぐ必要があります。
○まとめ

タバコは肺がん、脳卒中、心筋梗塞など命に関わる病気に深く関わっていることは広く知られていますが、歯周病にも悪影響を及ぼすことはまだまだあまり知られていません。歯周病は直接命に関わることはありませんが「いつまでも自分の歯でおいしく食事を」「若々しい表情でおしゃべりも楽しみたい」といった「健康寿命」に大きく関わってきます。
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